婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました
これに反対するのは……
「なによ! セリーナ様の着ているドレスは本当は私が貰うはずだったんだから!」
拾ってきた新聞をぐちゃっと握りつぶすジュリアナ。
「そんなわけあるか! おまえのせいでフロス商会は倒産したんだ! 妻は出ていくし従業員にも訴えられて残ったのはこの小さな倉庫と問題児のおまえだけじゃないか!」
そう言って元フロス商会社長でジュリアナの父は激昂していた。
「親なんだからなんとかしてよ!」
「おまえも働け! 仕事を探してこいっ!」
小さな倉庫に残っているものをなんとか売り捌いて利益を出さなければ生活ができない。働いていないジュリアナはお荷物でしかない。
「王宮のメイドにでもなろうかなぁ~正妃でなくとも側室でも、」
「バカな事を言うな! メイドになれるような身分ではない! おまえの戯言には付き合いきれん! 出ていけっ!!」
ジュリアナと、ジュリアナの父は毎日喧嘩が絶えない。