婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました
格が違うとバカにしていたサムとダニエルの家は、順調に儲けを出している。二人は学園の休みの日にはボランティアで勉強を教えたり忙しなく生活をしているようだ。
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「出て行けって言われてもねぇ……あら! サムじゃない?」
街をぶらぶらと歩いていると学園で一緒だったサムがいた。
「ジュリアナさんか?! 久しぶりだね」
「なによ! その口の利き方は!」
「いったいどうしたんだい?」
「お茶でも奢ってよ! 疲れちゃった」
「君は人混みが苦手だろ? それじゃ」
そう言ってサムは逃げるように去っていった。
「なによ!」
はぁ。こんな事なら平民でもお金持ちの商家の家に嫁げばよかったわ!
こんな普通の情けないワンピースを着て街を歩く日が来るなんて思わなかったもの。本当にむかつく。全部がセリーナ様のせいじゃないのよ!
「ジュリアナ・フロスか?」
「あら? あなたは?」
フルネームで呼ばれたことにより振り向くジュリアナ。誰だっけ?