婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました
「はい。出来ればジェフェリー殿下のお側でと思います!」

 明るく元気に答えるジュリアナ様を疑問に思った生徒が質問した。

「それは、どう言った意味で、ですの?」

 ジェフェリーの側で働く人物は特に厳しく審査される事になる。ジェフェリーは将来王になる人物で学園が同じでただ優秀と言うだけでは選ばれない。


「え! 秘書とか? ですよ!」


「それは難しいですわよ。殿下の側近の方は皆男性です。殿下のお側に付ける女性といえば、婚約者か侍女、メイドくらいですし、侍女やメイドでも皆さん高い教養がありますし、貴族の令嬢ばかり……執務のお手伝いとなれば尚更、婚姻関係を結ばないと厳しいですわよ」


 貴族の令嬢ならば皆知っている事。貴族の家で執務を手伝う人物は血縁関係があるもの、当主が信頼できるもの。王族の手伝いとなれば尚更のこと。国家の機密を守れるもの。そうでなければ務まらない。


「そうなんですか……厳しいのですね」


「国の重要書類なども沢山ありますでしょうから……でも! 王宮で働いたら箔がついて、婚姻先も優遇されたりですとか信用は高まりますもの。ジュリアナ様はこの学園に入学出来る程優秀ですから努力次第ですわね」

 皆が笑顔でうんうん。と頷いていた。


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