婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました
「……私が平民だからですか?」
ジュリアナが言った。
「何を仰ってますの?」
生徒達に悪気は一切ない。ジェフェリーが世話役をしている平民の生徒に喰ってかかるほど愚かではない。
「私が平民だからジェフェリー殿下の近くにいるのが気に入らないんですか?」
「そうは言っておりませんわよ? ジュリアナ様が羨ましいと言うお話でしたでしょう? 三ヶ月間とはいえ学園にいる間は殿下が自らジュリアナ様のお世話をしてくださるのですから」
「平民だから情けで世話をしてくれると言いたいのですね? 貴族サマ特有の遠回し……ひどいですぅ」
ジュリアナは、わぁぁっ。と泣き出した。周りの生徒達も何事かと注目し出した。
「困りましたわね……そんなつもりはございませんのに」
騒がしくなって来ました。クラスの皆さんが泣いているジュリアナ様に注目していますわね。話は聞こえていましたし、フォローする為に立ち上がりジュリアナ様達の元へ行こうとしていた時でした。