婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました
ジェフェリー
「セリーナはまだかなぁ」
サロンでウロウロとするジェフェリー。
コンコンコンとノックする音が!
「来た!」
側近の一人が扉を開けに行く。
セリーナの前で緊張して話ができなかった時は側近がフォローしてくれる。頼りになる存在だ。
「えっと……ジュリアナ嬢? どうされました?」
「え? ジェフェリー殿下からご招待をいただいたのですけれど……」
「ほぅ? それはどのように?」
「これです! 私の机の上に招待状が置いてありましたもの」
「……少しお待ちを!」
「殿下! 招待状はセリーナ様の机の上に置いたのですね?」
「当たり前だろ! 教壇の真ん中前から二番目」
「……殿下、セリーナ様のクラスは席替えをされてセリーナ様の席は窓側の席に移られました!」
「なんだって!」
「招待状は間違えてジュリアナ様の机に置かれたのでしょう。間違いとは言え、帰すことは出来ません。こちらのミスですから失礼に当たります」
招待して間違いだったとは言えない。そういえばセリーナから返事が返ってこなくておかしいと思ったんだ……
「それはそうだが……せっかくのセリーナとの時間が」
「次回はお間違えのないように! 本日はジュリアナさんとお茶を…… 適当に楽しませて帰ってもらいましょう。世話役として誘ったと言う事にしておけば、周りから不思議に思われることはないでしょう」
「……わかった」
がくりと項垂れるジェフェリーだった。