婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました
 家族であっても、お伺いの旨を伝えるのはマナーだし、こんなセリーナの姿を見るのは子供の時以来の事であった。子供の頃はただ会いたかったから。と言う可愛い理由でセリーナは執務室に突撃したこともあった。



「何だ? 王妃様をお待たせする事は出来ないから簡潔に話をしてくれ」

 お茶会の時間に遅れるようなら、わざわざここに来ないだろうが親として遅刻を許す事は出来ない。冷たい言い方と捉えられるかもしれないがこれは親としての教育でもある。


「はい。ジェフェリー殿下との婚約を解消して貰いたいのです」










「……なぜ、だ?」


 
< 41 / 162 >

この作品をシェア

pagetop