婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました
「すまない。セリーナ・ランディ嬢はどこに行ったかな?」

 近くにいる男子生徒に声を掛けるジェフェリー。急に声を掛けられ驚き固まる男子生徒。

「っ! 殿下! セリーナ様は先ほど教室を出ていかれました」

「しまった! 遅かったか……」


 がくりと項垂れるジェフェリー。


「ジェフェリー様ぁ! 教室まで迎えにきてくださったんですかぁ! 嬉しいです」


 ジュリアナが嬉しそうにジェフェリーに近づいたが、何知らぬ顔をするジェフェリー。


「……は?」


「行きましょう! 何か私にお話があるんですよね!」


 ジュリアナにぐいぐいと押し出される様に教室から出された。

 
 なんだこの娘は? 失礼極まりない娘だ。


 サロンへと連れて行かれてしまった。仕方なく側近に茶を出す様に言った。
< 52 / 162 >

この作品をシェア

pagetop