婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました

「なんだって! 危険じゃないか! 人が沢山いるところで、ぶつかったりしたらどうするのだ! 舗装されていない道もまだまだあるのに躓いたりしたら怪我するだろうが!」


「無事にお屋敷に帰られました。報告だけです」


「セリーナが怪我をしないように市民の街の整備を急がせないと!」


「はい。その書類がこちらで、工事にかかる費用と照らし合わせてくださいね」


「なるほど! 早くしないと冬が来る。少しずつでも早く進めていかなくては」


「そうですね。ついでに○△橋の補修もしなくてはなりませんね。セリーナ嬢が通るかもしれませんし」


「あそこか! もしもの水害に備えなくてはならんな! セリーナの足を止めるわけにはいかない。遠回りになるじゃないかっ」


「そうですね。これも……提出してしまいますか?」


「徹夜になりそうだな。明日は休みだからやっつけてしまおう」



「はい。お付き合いしますよ」


「悪いな」



 必要以上に仕事をさせる優秀な側近達だった。
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