婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました

「何バカなことを言っているの! ランディ侯爵が変なことを言っているの! セリーナが婚約を解消したがっているのだけれど、どう言うことかと聞かれたわ! どういう事よっ!」

 冗談じゃないっ!


「母上の耳にも入っているとは! 私が聞きたいですよ! こんなに私はセリーナの事を好きなのに、そんな一方的に…………ん?」


「あなた、学園でセリーナと交流をしていないでしょう! あなたが学園に入ってから手紙のやり取りしかしていないと報告がありました! そんなんだからセリーナが離れて行ったんでしょうが!」

 セリーナが離れる? 心の距離なのか、物理的な距離なのか……どっちも嫌だ。

「離れて行っただなんて! そんな……セリーナが……私に死ねとおっしゃるのですか!」

 絶望的な顔をして机に伏せるジェフェリー。

「なんで死ぬのよ!」


「セリーナがいない人生なんて……私には生きている価値が有りません……」


 セリーナと歩む未来しかいらない。一人寂しく死んでいくしかないのか。

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