婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました
 〜翌日〜

「おはようございます、セリーナ様」

 教室へ入る前にお人形さん(セリーナ様)にばったりと会った。


「おはようございます、ジュリアナ様」

 近くで見ても本当に美しい方……! でもね、美しいだけなの!


「セリーナ様は昨日教会のバザーへ行かれましたの?」

 サムやらダニエルやらがバザーの話をしていたし、あの教会に寄付をしてるとかしてないとか?


「お邪魔になるかと思って、バザーが始まる前に帰ってきましたの。サムさんとダニエルさんにお願いしてお菓子の販売をしてもらいました。少しでも寄付に繋がればと思いまして」


「あらぁー。そうでしたの。私が教会に寄付にいった時にサムとダニエルがお菓子を売っていたのはセリーナ様のお菓子でしたのね」


「ジュリアナ様も、寄付をされにいかれたのですね。素晴らしいですわ」

「えぇ。うちは()()で寄付していますのよ」

「まぁ! そうでしたのね。お金の方が良かったのかしら…」

「余裕のあるうちは現金が基本ですわね」


「そうでしたの。知りませんでしたわ。バザーに協力することが良いのかと思っていましたもの。浅はかでしたわ。教えてくださってありがとうございます。ジュリアナ様」


 頭を下げて礼をしてくるセリーナ様。ふふっなにかしら? この高揚する感じ……侯爵家の令嬢が平民に頭を下げるだなんて。

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