婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました
〜翌日〜
「サムさん、ダニエルさん、私とても誤解をしていましたの」
ジュリアナ様からの言葉が引っかかっていました。
「何のことでしょうか?」
サムさんもダニエルさんも不思議そうな顔で返事をしてきました。
「バザーでの事ですわ」
「先日はありがとうございました! 皆とても喜んでいました。お菓子は全て売れましたし、神父さまも感謝していました。さすがセリーナ様です! ラッピングのリボンも可愛くて女性からとても好評でしたし、男性は恋人へのプレゼントにすると買って行ってくれましたよ!」
その言葉は嬉しいのですけれど……
「ごめんなさい。お金を直接寄付した方がよろしかったのでは?……失礼な事をしたのではないかと、」
「え! まさか! お菓子の販売でバザーは賑わいましたし、購入してくれた方も喜んでいたのですよ! そりゃお金を寄付する人もいますし、それは助かります。しかしセリーナ様のように自らお菓子を作って携わっていただいた方が嬉しいですよ! 手に取った人たちがあんなに喜んでいたんですから!」
真剣な顔でサムさんもダニエルさんも伝えてくれます。嘘はなさそうです。