婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました
「失礼があった様ですわね。先日街へ行った時に楽しかったものですから、また街へ行ってみたいと思いましたの。ジュリアナ様のおすすめのお店があったら教えて頂こうと思ったのです。誤解をされたのなら申し訳ございませんわ。言葉が足りませんでしたわね」
頭を下げるとまた面倒なことになりかねませんから、頭は下げませんでした。
「セリーナ様の謝罪は口だけですのね」
「おい! その態度はないぞ。セリーナ様はきちんと誤解を解かれたじゃないか。それに言いがかりをつけているのはジュリアナさんの方だぞ」
ダニエルさんがジュリアナさんに注意をして下さいました。誤解があったのは確かですが、そこまで事を大きくしたくありません。
「まぁ良いです。許して差し上げます。私は心が広いので。それでは失礼」
「なんだ! あの態度は……」
「セリーナ様に失礼だ」
「サムさんダニエルさん、よろしいのですよ。私が気に障る様な事を言ったのですから」