婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました
「…………」
なぜお話をしないのか? ってお思いでしょう? 殿下は私がお話をしても面白くなさそうなお顔をしますの。いつも下を向いてうむ。としか返ってきません。
その顔を見ていると辛くなってしまいます。政略結婚の相手ですもの。
私の顔を見たくないのでしょう、やっぱりこちらを向きませんもの。
でもお話があると仰っていましたわね。無言の時間は辛いですわ。ここは私から
「……殿下、お話というのは」
「……でん、か?」
「? どうかされましたか?」
「いや……、母上に聞いたんだが、学園の寮は寂しいとか?」
「えぇ。そうですわね。家族と離れるのは初めてのことでしたから」
「……って、いい」
「何かおっしゃられましたか?」