婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました
「殿下! 発言をお許しください」
「畏まらなくて良い、何があった?」
平民のサムである。勇気を出してジェフェリーに事の成り行きを話し出した。
セリーナと仲良くしている平民の生徒が、ジェフェリーに話しかける時には発言の許可を取る。悔しいが? しっかりしている生徒だと思わざるを得ない。が。セリーナと仲良くしているという点での嫉妬は大いに有る。
「ジェフェリー様! この男はセリーナ様の手下です! 私情を挟んでいるかも知れません! 私が平民だから味方なんて誰もいないんです……うっうっ。ジェフェリー様は信じてくれますよね」
「殿下、ここではなんですから、後で話を聞くことにしましょうか?」
側近の一人が言った。
「そうだな。セリーナ後で話を聞かせて欲しい」
無表情でセリーナを見るが、今すぐにでも話を聞きたいという心配も含めるような口調だった。