私の恋人と執事はいつもいがみ合っている
「━━━━━はっ!?ご、ごめん!!
俺、つい……
ごめん!ごめんな!」

慌てて星那から離れ、ソファの上に正座をして謝罪する蒼志。
星那はゆっくり起き上がり、首を横に振った。
「ううん…」

「ごめんな、星那。ごめん…」
星那を抱き寄せる。
星那も蒼志の肩に顔を埋めた。

「怖かっ…た……」
星那の身体は、まだ震えていた。

「うん、ごめん…」
ゆっくり、星那の背中をさする。

背中を上下する、蒼志の優しい大きな手の感触に落ち着きを取り戻す。

「私も…」
「ん?」

「私も、ごめんね…
お泊まり、初めてだったから。
つい…いつもの感覚で焦っちゃったの」

「ううん。悪いのは俺。
やっと星那が手に入ったから、もう…手離すなんてできない。
怖くて……焦って、星那を責めてしまったんだ」

「え?」
ゆっくり顔を上げて蒼志を見つめる。

「婚約。
ほんとは、ずーっと前から星那と結婚したいと思ってた。
もう少し、もう少し…って我慢して、成人式迎えてクリスマスにプロポーズしようと思ってたんだけど、もう…我慢できなくて……!
俺さ。
星那が思ってるより、星那のことが好きなんだ。
この気持ちは、一生変わらない。
ほんとは、離れたくない。
一日でも早く一緒に住んで、何でも一緒にして、星那だけ見て、星那の声だけ聞いて、星那の事だけ考えて生きていきたい。
俺は、星那のためなら……星那がずっと俺のことを好きでいて、ずっと傍にいてくれるなら……何でもするよ」

「あーくん…」

「星那。
婚約したから、もう…絶対離さねぇから!
覚悟してて?」

「うん。離れない!」

「ほんとに?」

「うん!私だって、あーくんのお嫁さんになりたくて、必死に家事を練習してるんだよ?
あーくんへの気持ちなら、誰にも負けない!」

力強く蒼志を見上げ、はっきりとした口調で言う。



「…………じゃあ…今からする事、嫌がらずに受け入れて?」
そう言って、今度は優しくゆっくり星那を押し倒した。

「え?え?あー……く……」

「星那、キスしよ?」

「ん…」
蒼志の綺麗な顔が近づいてきて、チュッとリップ音をたてて口唇が重なった。

「フフ…星那、次はもっと深いの、しよ?」

「え……深い?」


「そう。星那、口を開けて?」

言われるまま小さく口を開けた星那に、蒼志は「そのまま、逃げちゃダメだからな」と言って、口唇を重ねた。
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