私の恋人と執事はいつもいがみ合っている
蒼志は、少しムッとして星那の手を掴み引き寄せた。

「え……あーく━━━━んんっ!!?」
そしてそのまま、星那の口唇を塞いだ。

目の端で河冨を見る。

河冨は目をまん丸にして、驚愕している。

「………星那」
「あーく…急に…/////
河冨がいるんだよ?
恥ずかしいよぉ/////」
抗議する星那。

「フフ…いいじゃん!
プロポーズ、受け入れてくれてありがと!
“あの事も”おじさんとおばさんに、お願いしろよ?
じゃあ、また明日な!」

そんな星那の頬を包み込んで微笑み、最後に軽くチュッ!とキスをして去っていった。

「……/////」
放心状態の星那。

「お嬢様」
「え?あ、うん」
腰を抱き微笑む河冨に星那も微笑み、二人は屋敷に向かった。



「━━━━━お父様とお母様は、リビングにいらっしゃいますから、このまま一度向かいましょう!」
廊下を歩きながら、声をかける河冨。

「うん。
…………あ、ごめんね、河冨」
「え?お嬢様?」

「ずっと、門の前で待っててくれたんでしょ?
寒いのに、待たせてごめんね!」

「…………貴女は…ほんと……」
「え?何?」

「いえ…!温かいお言葉、ありがとうございます。
大丈夫ですよ?
お嬢様が帰って来ることを想像してるので、全然苦ではないんですよ?
それよりも、先程の……」
「ん?」

「“あの事”とは、何ですか?
蒼志様がおっしゃってたことです」

「うん。
私昨日、あーくんにね、プロポーズされたの」

「はい。
きっと、そうだろうなと思ってました」

「大学卒業したら、結婚しようって」
「はい」

「とっても嬉しかった。
ほら、私。
花嫁修行ってゆうか、家事の練習してるでしょ?」
「そうですね。毎日頑張ってますもんね!」

「でも、離れるの寂しいなって。
後一年だけど、毎日会えるけど、あーくんと離れるの寂しい」
「………」

「そしたらね。
あーくんが言ってくれたの。
“同棲しよう”って!」
「…………そう…ですか…」

「………」
切なくなってしまった河冨を、見上げる星那。

「あ…すみません!」

「やっぱ…反対されるかな?」

「そうですね。
ご結婚のことは、きっと受け入れてくださると思います。
僕もご両親も、今回のお泊まりで“その覚悟は”してたので」

「うん」

「しかし………やはり大学をきちんと卒業して、蒼志様が社会人として安定するまでは、きっとお嬢様がこの屋敷から出ることを了承してくださらないと思います」

「………」
河冨の言葉を聞いて、肩を落とす星那。


河冨はそんな星那を見ながら、心の中で“やっぱりな…”と思っていた。
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