私の恋人と執事はいつもいがみ合っている
「━━━━ごめんね、あーくん」

夕食後、星那の部屋に向かった蒼志と星那。
カーペットに座った星那を後ろから包み込む蒼志に、星那は落ち込んだように肩を落とし言った。

「なんで、謝んの?」
「………」
星那は、項垂れている。

「ん?星那?」
蒼志は後ろから顔を覗き込んで、優しく問いかける。

「…………パパとママを、説得できなかったから」

「謝んなよ!
おじさんの言ってること、その通りだし。
結婚認めてもらえたことだけで、十分!
俺、頑張るから!
大学卒業して、すぐに星那を迎えに行けるように」

「あーくん…
うん!私も、頑張る!
あーくんを支えられるように!」
微笑む蒼志に、星那も微笑み振り向いた。

「ん!
……………ただ、さ…」
「ん?」
蒼志の顔が険しくなり、星那は首をかしげる。

「“あれは”なんなんだ?」

「“あれ”って?」



また、先程に戻る。
『━━━━━あ、そうだ、蒼志』
『はい』

『結婚してからも、河冨は星那の執事のまま仕えさせようと思ってるんだ。
だから、お前と星那の執事として使ってやってくれ』
夕食後、デザートを食べている蒼志に言う。

『…………は?』
父親の言葉に、蒼志はフリーズする。
フォークを思わず、カシャンと落とす。

『もちろん、一緒に住まわせろと言ってるんじゃない。
蒼志のマンションの下に住まわせようと思ってる。
いいよな?』

『は?な、なんでだよ!!?』
ガタッと椅子から立ち上がった。

『心配だからだ。
俺達のワガママだと思ってくれ』

『河冨なんかいなくても、俺が……あ、いや、僕がちゃんと星那を守れます!』
動揺して思わず口調が変わり“俺”と言ってしまう。

『わかってる。
蒼志がどうのって訳じゃないんだ。
どうしても、過保護になってしまってな。
蒼志のいない日中が心配なんだ。
わかってくれ………!』



「……………なんで、河冨付きなんだよ!?」
先程の話を思いだし、声を荒らげる蒼志。

「あーくんは、河冨のこと嫌いなの?」
振り向き、窺うように見つめる星那。

「え?あ、いや…嫌いっつうか……ウザいっつうか…」

「河冨がいてくれると、安心するよ?」

「………」
星那の言葉にムッとする、蒼志。
「え?あーく━━━━━んんっ!!?」
星那の口唇を塞いだ。



「星那は、河冨のこと好きなの?」
口唇を離し、額をくっつけ言った。
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