私の恋人と執事はいつもいがみ合っている
「なんか凄いね!」
「あぁ、結構綺麗だな!」

目をキラキラさせてイルミネーションを見ている星那。
蒼志はそんな星那を見て、ポツリと言った。

「あの時……」
「ん?あーくん?」

「高三の時、星那が告白してきてくれたこと、今でも感謝してんだ、俺」

「え?感謝?」

「そう。
星那のことずーっと好きだったのに、告白する勇気が全然持てなくて……
俺さ。怖いもんなんてないはずなのに、星那に関することは情けねぇくらいに臆病になって、怖くて、しり込みしてばっかだった。
星那に男がちょっと話しかけるだけでスゲー頭にキて、そいつに喧嘩売ったりしてたんだ。
大騎や智久には、早く告れって何度も言われてたのに、それでも出来なくて……
このまま俺は、星那だけを想い続けておかしくなってくんだろうなぁーって思ってた」

「あーくん…」

「そしたら、星那から告ってきてくれただろ?
あの時、ほんっと最高に嬉しかった!
絶対に星那を離さねぇ!って思った。
星那の為に生きていこうって!
星那を幸せにしたいって!
星那が俺にチャンスをくれたんだ!
あの告白がなければ、今頃こんな風に隣で歩けてたかわかんねぇ……!
…………だから!ありがとう、俺に告ってきてくれて」

蒼志が、星那に微笑む。
イルミネーションの光に照らされて、キラキラ光っていた。

「………私も…」
「ん?」

「ありがとう!」
「星那?」

「私を……彼女にしてくれて、ありがとう!」
「フフ…うん!」

「婚約者にしてくれてありがとう!」
「うん!」


「“あーくん。私は、あーくんが好きです!”」


「━━━━!!?星那、その言葉……」




『あーくん。私は、あーくんが好きです!』

あの日━━━━━━
高校三年の春。

蒼志を呼び出し、告白した星那。

『ほん…と…に……?』

『うん!あーくんが好き!』

『俺も……』

『え?』

『俺も、星那が好き!』

『ほんと!?』

『あぁ!』

『じゃあ、私をあーくんの彼女にしてください!』

『フフ…はい!
星那を、俺の彼女にします!』



「━━━━星那」
「ん?」

「あの日。
星那が告ってくれた日。
俺が言ったこと、覚えてる?」

「…………フフ…うん!もちろん!」



「『星那。何の根拠もないけど………
星那を、世界で一番幸せにする!
俺はずっと離すつもりないから………
━━━━━━だから、俺を信じてついてきて!』」
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