私の恋人と執事はいつもいがみ合っている
俺は最初から、星那しか愛せない
ホワイトデーを一週間後に控えた週末の夕方。
蒼志は、プレゼントを買いに大騎と智久と待ち合わせをしていた。


「王子ー!」
「こっち、こっち!」
大騎と智久が、手招きしている。

はぁーとため息をついて、二人の元に向かった。

蒼志がため息をついた理由━━━━━


「久しぶり!蒼くん!」

「うん」

高校二年の元カノ・咲恵(さきえ)がいるからだ。


誰でも良かった━━━━━

星那への狂おしい想いを忘れさせてくれるなら。


怖くて、告白すらできなかった蒼志。
でも、星那への変わらない狂おしい想いをどうすることもできなかったあの時。

“たまたま”告白してきたのが、咲恵だったのだ。



そして今日は、プレゼント選びにアドバイスをもらおうと大騎が咲恵を呼んだのだ。
(咲恵が同窓会に来れなくて、蒼志に会わせてほしいと相談してきたのを“いい機会だから”と大騎が誘った)
「━━━━━元気そうね!」
「まぁな」

「じゃあ、咲恵。
よろしく~!」

「OK~」

大騎の言葉に、咲恵は大きく頷くのだった。



「━━━━とりあえず、色々ピックアップはしてきたんだけど………」

スマホのメモ画面を見せる。

お菓子やコスメ、アクセサリー……色々なお返しのプレゼントがピックアップされていた。

「へぇー凄いな!」
智久が感心して見る。

「お花ってのもいいよ!
後は……入浴剤とか?
ほら、入浴剤贈って“一緒に入ろ?”とか(笑)」

「ほぅーいいな!」
大騎が微笑む。


入浴剤か…/////あと、花も喜ぶだろうなぁ……!

蒼志は星那のことを想い、顔がにやけていた。

「フッ…王子が、想像してる…(笑)」
「フフ…絶対、姫様と風呂入ってるとこ想像してるよな?(笑)」
大騎と智久が、クスクス笑う。


「………」
しかし咲恵は、複雑な表情で蒼志を見ていた。



「━━━━サンキューな、咲恵」
蒼志達がプレゼントを購入し、お礼を言う。
「ううん!」

「なんか食って帰ろうぜ!奢るから!」

「いいの?」

「あぁ!お礼しなきゃだしな!」
蒼志以外の三人は、盛り上がっている。


「ん」
そんな中蒼志が、大騎に万札を渡してきた。
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