私の恋人と執事はいつもいがみ合っている
駅まで歩く。
「今日は、ありがとう」
「ん」
「………あの、蒼くん」
「なんだよ」
「もう少し……もう少しだけ…付き合って?」
「………」
咲恵が蒼志の服を少し掴み、見上げている。
咲恵の服を掴む姿と、上目遣い。
なぜだろう━━━━━━
何も感じない。
本当に、何も……
これが星那なら、今頃抱き締めているだろう。
ドキドキして、抱き締めた腕を離せないだろう。
もしかしたら、そのまま……キスをしてしまうかもしれない。
“星那に会いたい……無性に……”
蒼志は、そんな想いに支配されていた。
「…………蒼くん?」
「約束」
「え?」
「約束したろ?
飯食うだけっつったじゃん。
俺は、帰る。
━━━━ん。タクシー代」
五千円札を渡し、去ろうとする。
「ま、待って!!」
蒼志の腕を掴む、咲恵。
「━━━━━━しつけぇなぁ!!!」
その瞬間━━━━凄い力で、蒼志は咲恵を振り払った。
その勢いで、咲恵は地面に尻もちをつく。
周りの人々が“なんだ、なんだ”と見ている。
「あ、お…く…」
咲恵も、信じられない思いで見上げた。
「飯だけの約束だろ!?
俺、しつこい奴大っっ嫌いだから!
ほんとは心の底から嫌なのに、付き合ってやったじゃん!
なんで、気持ちよく去れねぇの?
未練タラタラなとこも、ウザくて堪らない」
「………」
「あーもう!!
言わないでやろうと思ってたが、今日のことも大騎に協力させたんだろ?」
「え………」
「大騎は、高校ん時お前に惚れてたからな。
それに漬け込んで、頼み込んだんだろ?」
「知って…た…の?」
「大騎は、ドタキャンなんか普段しない奴だから。
待ち合わせも、誰よりも早く来て待ってるような奴だし。
なんかあるとは思ってた。
お前が、声をかけてきた瞬間……なんとなく察してた」
「じゃあ、なんで食事……」
「俺だって、お前には負い目が少しあったから。
好きでもないのに、お前の告白を受け入れた。
なのに結局星那のことばっかで、あんまもたなかったし。
それこそお前に、中途半端なことしたから」
「………そうだったんだ…」
「今日は、ありがとう」
「ん」
「………あの、蒼くん」
「なんだよ」
「もう少し……もう少しだけ…付き合って?」
「………」
咲恵が蒼志の服を少し掴み、見上げている。
咲恵の服を掴む姿と、上目遣い。
なぜだろう━━━━━━
何も感じない。
本当に、何も……
これが星那なら、今頃抱き締めているだろう。
ドキドキして、抱き締めた腕を離せないだろう。
もしかしたら、そのまま……キスをしてしまうかもしれない。
“星那に会いたい……無性に……”
蒼志は、そんな想いに支配されていた。
「…………蒼くん?」
「約束」
「え?」
「約束したろ?
飯食うだけっつったじゃん。
俺は、帰る。
━━━━ん。タクシー代」
五千円札を渡し、去ろうとする。
「ま、待って!!」
蒼志の腕を掴む、咲恵。
「━━━━━━しつけぇなぁ!!!」
その瞬間━━━━凄い力で、蒼志は咲恵を振り払った。
その勢いで、咲恵は地面に尻もちをつく。
周りの人々が“なんだ、なんだ”と見ている。
「あ、お…く…」
咲恵も、信じられない思いで見上げた。
「飯だけの約束だろ!?
俺、しつこい奴大っっ嫌いだから!
ほんとは心の底から嫌なのに、付き合ってやったじゃん!
なんで、気持ちよく去れねぇの?
未練タラタラなとこも、ウザくて堪らない」
「………」
「あーもう!!
言わないでやろうと思ってたが、今日のことも大騎に協力させたんだろ?」
「え………」
「大騎は、高校ん時お前に惚れてたからな。
それに漬け込んで、頼み込んだんだろ?」
「知って…た…の?」
「大騎は、ドタキャンなんか普段しない奴だから。
待ち合わせも、誰よりも早く来て待ってるような奴だし。
なんかあるとは思ってた。
お前が、声をかけてきた瞬間……なんとなく察してた」
「じゃあ、なんで食事……」
「俺だって、お前には負い目が少しあったから。
好きでもないのに、お前の告白を受け入れた。
なのに結局星那のことばっかで、あんまもたなかったし。
それこそお前に、中途半端なことしたから」
「………そうだったんだ…」