私の恋人と執事はいつもいがみ合っている
私はやっぱり、二人が大好き!
「おはようございます、お嬢様!
こちらにいらっしゃいましたか……!」

次の日の朝。
星那は、キッチンにいた。

「おはよう、河冨。
これ、また食べて?」
弁当を渡す。

「ありがとうございます!お嬢様!
今日も、噛みしめていただきますね!」
満面の笑みで微笑む、河冨。

「うん。
お手紙、入れてるから後から読んで?
………私は、大学に行く準備してくるね」

パタパタとキッチンを出ていく星那を見送り、ランチバッグの中の手紙を開いた。


【河冨へ
昨晩、ずっと河冨の告白のことを考えてたよ。
でも答えはやっぱり、一つしかないの。
抱き締めてほしい。
キスしてほしい。
触れて、キス以上のことをしてほしい。
そう思える人は、あーくんだけなの。
河冨は私にとって“大切な家族でお兄様”
河冨に、幸せになってほしいって気持ちは嘘じゃないよ!
だから私から、河冨の傍を離れることを考えた。
でも河冨の言葉を聞いて、私が傍にいることで河冨が幸せを感じてくれるのなら………
今まで通り、よろしくね河冨!
星那☆】

河冨は、手紙を抱き締めるようにして胸に当てた。

そして………
「こちらこそ、よろしくお願いします、僕の愛しい星那お嬢様」と呟いた。



蒼志が迎えに来て、河冨の運転する車に乗り込む。

相変わらず蒼志は星那を見つめ、星那の話を相づちをうちながら聞いている。


「━━━━━あ!それでね!
今週の土曜日なんだけど……」

「ん?土曜日?
うん。どっか行きたいとこあんの?」

「うん!」

「何処?どこでも連れてってやる!」

「公園に行きたいな!
私がお弁当作るから、ピクニックしよ?」

「フフ…ん!いいよ!行こう!」


河冨はその話を、いつものように羨ましく聞いていた。

「━━━━━あ、三人でね!」

「「………」」
蒼志と河冨が、フリーズしている。

「は?星那、三人って“どの三人”?」


「私と、あーくんと河冨!」

「は?」
「え?お、お嬢様?」

あり得ないと言うような表情(かお)の蒼志と、心底驚いている河冨。


「三人で、行きたい!
お願い、あーくん!」

「………」

「お願い!!」



何度も言う。

蒼志は、星那には強く出られない。




「…………わかったよ…」

しぶしぶ、OKするのだった。
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