不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。






それから間もなくして式も無事に終わって、3年生から順番に全学年が教室へ帰って行ったあと、体育委員と生徒会執行部の人たちと合同で館内を清掃していく。





あぁ、早く来ないかなあ冬休み。


今年は真実ちゃんと一緒にウィンターカップの試合を応援しに行こうねと約束しているし、年が明けてすぐに悠太くん家族と一緒に彼の高校サッカーの試合を観に行くことにもなっている。



だからそれまでに1年越しの大掃除もして、おせちも作って、年明けまでに課題も済ませて、お正月になって困らないよう日用品の買い出しにも行かなくちゃ。




年末の、ちょっとしたイレギュラーな日常が好きだ。


今日は午前授業で終わりのはずだから、午後から何をして過ごそうかと大まかな予定を頭の中で埋めていく。


そして大きなパイプ椅子を3つ持ち上げながら、ふと気が付いた。





「あ、そういえば今日バスケラボの日だ!買いに行かなきゃ!」


「――伊都ちゃん今バスケラボ買いに行くって言った?え、どこの本屋?」


「わーっ!ビックリした!り、律くん!?」


「伊都ちゃんそれ貸して?手伝うよ」


「え、いや、律くんに運んでもらうなんて悪いです!それにこれは私の仕事なので」


「ねぇ、今日ラボ一緒に買いに行かない?」


「…………え?」





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