不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。





だからあの日からずっと、律くんに会えていない。


だけど、章栄バスケ部が優勝できたことが何よりも嬉しかったから、今はそれだけで十分満足だ。








「伊都?今日寒いから近くまでお母さんが送って行ってあげようか?」


「あ、ううん!大丈夫だよ。まだ終わる時間も曖昧だから、分かったら連絡するね」


「そう?じゃあ温かくして行きなさいね?」


「うん。行ってきます」





そんな私は今日、中学生のころ同じクラスだった人達と、新年会を兼ねたプチ同窓会にお呼ばれしている。


仲が良かった加奈子ちゃんも由香ちゃんも、みんな別々の高校に通っているから会うのはとても久しぶりだ。





いつも登下校のときにお世話になっているバス亭を通り過ぎて、電車でさらに3駅進んだ先にあるカラオケ店の前で、指定された通り待っていると、徐々に集まってくる懐かしい顔ぶれ。





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