不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。
「そんなやりとりが?全然、知りませんでした」
「2人だけの秘密にしてたから」
私の知らない、お父さんと律くんの思い出。
初めて聞かされたそれに、なんだかこそばゆくなる。
「俺にはこれから叶えなきゃならない夢がたくさんある。だから絶対、伊都ちゃんを1人にはしない」
「律……、くん」
「だって10年離れてた伊都ちゃんを見つけたんだよ?俺って最強の幸運の持ち主でしょ?」