不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。
悠太くんの声が、ジワジワと心に染みてくる。
泣くべきは私じゃないのに、それでも抑えられないくらいに溢れる涙をどうにか堪えた。
震える声が、とっても憎たらしい。
「私…っ、悠太くんが見切ったとおり、律くんのことが……好きです」
「……うん」
「律くんとは、私がここへ引っ越してくる前に住んでいたところで知り合っていて。彼は私を探しに、ここまで来てくれた……んですっ」
「おー、すごいな」
「でも!わ、私の幼なじみは悠太くんだけです!」
ひと言ひと言考えながら言葉を並べていくうちに、次々に蘇ってくる悠太くんとの思い出の数々。
引っ越してきたばかりのころは苦手な男の子だなあ、と思っていた。
だけど悠太くんのおかげで私はこの地で気さくな友達がたくさんできて、友達の輪に入ることができて、そして何より悠太くんっていう一番の友達を持つことができた。
毎日が楽しくて、何かあったときは一番に相談できる人がいて、唯一固くならずに話すことができる大事で大切な人。