不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。







クルッと回って見せてくれる律くんは、1週間前と同じ……律くんだった。


お母さんは、「お昼ご飯の支度してくるから、部屋に上がってもらいなさいね?」と言ってこの場を離れる。






「おかえり、なさい」


「うん、ただいま。伊都ちゃん」




よかった。

本当によかった。

律くんが……っ、帰ってきてくれた。



今まで閉じ込められていた分をここぞとばかりに流してやろうとしているのか、最近の私は少しのことですぐに涙を流すようになった。


1週間分の緊張が解けてきたのか、力なく玄関マットの上に座って笑うように泣く。




「帰ってきたら一番に会いに行くって約束したでしょ?だから、ね?」


「嬉しいです律くんーっ!ありがとうございますっ、本当に…っ、安心しました!」


「それとね?これ」



ガサゴソと大きな紙袋を提げて、彼がその中から出したモノを見て驚愕した。


驚愕のあまりヒィッと息を飲み込みすぎて咽るくらい、律くんはトンデモナイものを取り出した。





< 240 / 259 >

この作品をシェア

pagetop