不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。









「――伊都」


「……悠太くん!来られたの!?私てっきり……」


「お前、それ絶対に転ぶなよ?」


「だ、ダメだよ!縁起でもないこと言わないでよ!」


「結婚式は一番前で祝うのが、幼なじみの役目でしょ?」







悠太くんは、高校を卒業後にサッカーの強豪大学へ進学するために上京した。


今では日本代表に選ばれるほどの実力で、彼の言ったとおり脇目も振らずにサッカーに打ち込んでいる。






「そういうばこの前テレビで見たよ?足の怪我はもう大丈夫?」


「あぁ、メディアって大袈裟に言うよな?来月から復帰する」


「そっか……、よかった!」






「――伊都。結婚、おめでとう」


「……ありがとうっ、悠太くん」



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