不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。










「――南野さん……じゃなかった、伊都さん!」


「夕夏さん!」


「さっき律のところに行って、おめでとうとご祝儀だけ放り投げて来ちゃったの!ごめんね!仕事の電話が……って、また!あたしはまた改めて2人をお祝いさせてね!」


「そ、そんな!お気持ちはいただきました!もう十分です夕夏さん!ありがとうございます!」


「あたしね、南野さんには本当に感謝してるの。だから……って!もう携帯壊したいんだけど!と、とりあえずおめでとう!今度良いお店でお祝いするからー!」





夕夏さんは、高校卒業後、難関私立大学へ1発合格を決め、今ではバリバリのキャリアウーマンとして日々忙しい生活を送っているのだそう。


格好いいスーツ姿で電話を取りながら走っていく夕夏さんは、バスケ部のマネージャーのときと同じ、誰よりも頼もしい人だった。






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