不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。
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あれから、みんなはそれぞれ自分の道を歩いて行った。
そして私も、みんなと同じように……1歩ずつ進んでいった。
律くんと、2人で。
「――伊都ちゃん」
呼ばれた声に振り向くと、そこには真っ白のタキシードに身を包み、いつも以上に恰好良さを前面に引き出している律くんがいた。
彼はバスケの名門大学に進学したのち、プロのバスケットプレイヤーとして日本一を目指してる。
偶然にも瑠衣くんと同じチームに所属したらしく、2人は毎日切磋琢磨しあっているそうだ。
私は管理栄養士の資格を取るために大学へ進学し、そこから4年間、律くんとは離ればなれになってしまったのだけれど、その間も忙しいはずの律くんは私との時間をそれは大切にしてくれた。
月に数回しか会えない時期もあって、このまま律くんの気持ちが離れていったらどうしようと頭を悩ませていたこともあったけれど、それでも律くんはうんと私を愛してくれた。