不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。




差し出された律くんの手を握って、そばへ駆け寄る。


普段から直視できないくらい格好いいのに、今日は一段と光って見えるから困った。




そして、彼は私の耳元でそっと囁いた。



「伊都ちゃんとこの日を迎えられて、本当に良かった」と。

「今までずっと、俺を愛してくれてありがとう」と。

「そしてこれからも、よろしくね。伊都ちゃん」と。





「律くん、それは私のセリフだよ。高校1年生のとき、バスケ部の募金箱のところで再会したあの日から、私は一番の幸せ者になったよ」


「懐かしいね」


「小さいときから、ずっと私のことを好きでいてくれてありがとう」

「私のことを探してくれて、見つけてくれて、再会してくれてありがとう」




幸せすぎて、たくさんの言葉が溢れてくる。

私は律くんに出会えて、愛してもらえて、世界一幸せだよ。




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