不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。
「でもほんと、久々にこんな典型的なドジ目の当たりにしたよ!キミ最高だね!いいキャラしてる」
「あ、りがとうございます……?」
何がそんなに面白いのやら、となりにいる彼は未だにお腹を抱えながらケラケラと笑っている。
「あー、面白かった。でも大丈夫だからもう購買行っておいでよ。俺、こう見えてバスケ部のエースだからさ?この募金箱を開けてキミの諭吉さんを救出するくらい簡単なことだから」
「…………え?」
「あと、上履きの色からして俺もキミと同じ1年生だから」
「…………え?」
「仲良くしようよ、"諭吉ちゃん"?」