エリート御曹司は極秘出産した清純ママを一途な愛で逃がさない
それから今日までの一週間、清都さんは多忙を極めているのだろう、まったく音沙汰がない。
アメリカ赴任まで残り一ヶ月を切り、店舗には一度後任の事業部長とともに挨拶に来たけれど、ほんの数分形式的に会話を交わしただけだった。
それだけでも激しく心が揺さぶられたのだけど、気がかりな件があって、こちらから連絡しようか迷っている。
偽恋人を打診された日に渡された、あの豪華な指輪をまだ返していないのだ。
『もちろんタダでとは言わない。この指輪は、食事会が終わればきみのものだ』
清都さんはああ言っていたけれど、さすがにあれほど高価なものをいただくわけにはいかない。
清都さんへの気持ちに整理がつかず、なかなか連絡ができないでいたある日。
「みんな、久しぶり!」
亜紀さんの元気な声が店内に響き渡ると、フロアから厨房にいるスタッフまでみんなが一斉に顔を明るくした。
店内にお客様は数名ほどで、ランチタイムを過ぎた穏やかな時間帯だった。
「亜紀さん、お久しぶりです!」
「わぁ、今日はどうされたんですか?」
千花ちゃんとともにすぐに駆け寄ると、亜紀さんは満面の笑みで私に紙を差し出した。
「うちのカフェバー、来月にはオープンするからよろしくね」
渡された紙に目を落とすと、カフェバーの外観写真とオープンの日付け、それに地図が書かれている。うちの実家と同じ町内だ。
「もう改装が終わったなんて、早いですね」
千花ちゃんの言葉に、亜紀さんは照れた顔で肩をすくめた。
「実はね、彼がそういう会社をやっていて。優先的に動いてもらったの」
「……彼?」
私は目をぱちくりさせる。
一緒に働いていたときは、恋愛の話をしたことがなかった。
千花ちゃんもそうだったのか、最初は驚いた様子で見開いた目を細め、亜紀さんに笑いかける。
「そうなんですね! お幸せそうでなによりです〜!」
「オープンしたら千花ちゃんと一緒に遊びに行きますね」
千花ちゃんと私の言葉に、亜紀さんはうれしそうに頬を緩めてうなずいた。
アメリカ赴任まで残り一ヶ月を切り、店舗には一度後任の事業部長とともに挨拶に来たけれど、ほんの数分形式的に会話を交わしただけだった。
それだけでも激しく心が揺さぶられたのだけど、気がかりな件があって、こちらから連絡しようか迷っている。
偽恋人を打診された日に渡された、あの豪華な指輪をまだ返していないのだ。
『もちろんタダでとは言わない。この指輪は、食事会が終わればきみのものだ』
清都さんはああ言っていたけれど、さすがにあれほど高価なものをいただくわけにはいかない。
清都さんへの気持ちに整理がつかず、なかなか連絡ができないでいたある日。
「みんな、久しぶり!」
亜紀さんの元気な声が店内に響き渡ると、フロアから厨房にいるスタッフまでみんなが一斉に顔を明るくした。
店内にお客様は数名ほどで、ランチタイムを過ぎた穏やかな時間帯だった。
「亜紀さん、お久しぶりです!」
「わぁ、今日はどうされたんですか?」
千花ちゃんとともにすぐに駆け寄ると、亜紀さんは満面の笑みで私に紙を差し出した。
「うちのカフェバー、来月にはオープンするからよろしくね」
渡された紙に目を落とすと、カフェバーの外観写真とオープンの日付け、それに地図が書かれている。うちの実家と同じ町内だ。
「もう改装が終わったなんて、早いですね」
千花ちゃんの言葉に、亜紀さんは照れた顔で肩をすくめた。
「実はね、彼がそういう会社をやっていて。優先的に動いてもらったの」
「……彼?」
私は目をぱちくりさせる。
一緒に働いていたときは、恋愛の話をしたことがなかった。
千花ちゃんもそうだったのか、最初は驚いた様子で見開いた目を細め、亜紀さんに笑いかける。
「そうなんですね! お幸せそうでなによりです〜!」
「オープンしたら千花ちゃんと一緒に遊びに行きますね」
千花ちゃんと私の言葉に、亜紀さんはうれしそうに頬を緩めてうなずいた。