エリート御曹司は極秘出産した清純ママを一途な愛で逃がさない
なぜ今更あんなことを……?
偶然きらきら亭にやって来て、沢田さんの言葉に私が困惑しているように見えたから、助けてくれただけ、とか?
それとも、なんらかの手段で私の職場を調べ、会いに来たの?
私は偽恋人で、気まずくなって別れたのだから、まさかそんなはずはないよね……。
勤務中、接客業務の空いた時間はそんな答えの出ない考えばかりが私を支配した。
もう清都さんはいないのに、鼓動の高鳴りが止まなかった。
退勤の午後六時になり、私はロッカーの前で割烹着から私服に着替える。
携帯をチェックすると、亜紀さんから何件か着信があった。
なんだか胸騒ぎがして、すぐに折り返そうとしたとき、ちょうど携帯が振動した。
『もしもし、映美ちゃん!?』
出ると、すぐに亜紀さんの切迫した声が耳に届いた。
「はい、今仕事が終わって」
『白鳥部長……じゃなかった、白鳥副社長が今日、そっちに行かなかった⁉』
「あ……」
亜紀さんは事情を知っているようだ。
私は息を吐き、携帯を強く握りしめた。
「はい、来ました」
『やっぱり……。実は今朝、開店早々うちのカフェバーに来たんだけど、映美ちゃんがプリズムを辞めた理由を聞かれて。あまりにもしつこくてなかなか引かないから、ほかにいい職場があったみたいで、って話したの。ごめんなさい』
「い、いえ」
『そのときにね、そばにいた母が、保育園もご実家も近いし便利よねってポロッと喋っちゃって」
「えっ!」
思わず大声が出てしまい、隣で着替えていたパートさんが驚いた顔でこちらを見た。
私は口もとを手のひらで覆う。
『こんなことになってしまって、もう私どう謝罪したらいいか……。本当に本当にごめんなさい!』
張り詰めた声に、心から申し訳ないと思ってくれていると伝わる。
「いいんです! お母様は事情をご存じなかったでしょうし、亜紀さんにはご迷惑をおかけしてしまい、すみません」
それにもとはと言えば私が亜紀さんを巻き込んで、秘密にしてほしいとお願いしたからこんな事態になったのだ。
亜紀さんだって板挟みで困っただろう。
『そんな、謝るのは私よ。次は職場を教えろって、あなたが言わないなら母に聞くって脅されてね』
「お、脅され……?」
私は耳を疑った。
清都さんがそんなことを?
偶然きらきら亭にやって来て、沢田さんの言葉に私が困惑しているように見えたから、助けてくれただけ、とか?
それとも、なんらかの手段で私の職場を調べ、会いに来たの?
私は偽恋人で、気まずくなって別れたのだから、まさかそんなはずはないよね……。
勤務中、接客業務の空いた時間はそんな答えの出ない考えばかりが私を支配した。
もう清都さんはいないのに、鼓動の高鳴りが止まなかった。
退勤の午後六時になり、私はロッカーの前で割烹着から私服に着替える。
携帯をチェックすると、亜紀さんから何件か着信があった。
なんだか胸騒ぎがして、すぐに折り返そうとしたとき、ちょうど携帯が振動した。
『もしもし、映美ちゃん!?』
出ると、すぐに亜紀さんの切迫した声が耳に届いた。
「はい、今仕事が終わって」
『白鳥部長……じゃなかった、白鳥副社長が今日、そっちに行かなかった⁉』
「あ……」
亜紀さんは事情を知っているようだ。
私は息を吐き、携帯を強く握りしめた。
「はい、来ました」
『やっぱり……。実は今朝、開店早々うちのカフェバーに来たんだけど、映美ちゃんがプリズムを辞めた理由を聞かれて。あまりにもしつこくてなかなか引かないから、ほかにいい職場があったみたいで、って話したの。ごめんなさい』
「い、いえ」
『そのときにね、そばにいた母が、保育園もご実家も近いし便利よねってポロッと喋っちゃって」
「えっ!」
思わず大声が出てしまい、隣で着替えていたパートさんが驚いた顔でこちらを見た。
私は口もとを手のひらで覆う。
『こんなことになってしまって、もう私どう謝罪したらいいか……。本当に本当にごめんなさい!』
張り詰めた声に、心から申し訳ないと思ってくれていると伝わる。
「いいんです! お母様は事情をご存じなかったでしょうし、亜紀さんにはご迷惑をおかけしてしまい、すみません」
それにもとはと言えば私が亜紀さんを巻き込んで、秘密にしてほしいとお願いしたからこんな事態になったのだ。
亜紀さんだって板挟みで困っただろう。
『そんな、謝るのは私よ。次は職場を教えろって、あなたが言わないなら母に聞くって脅されてね』
「お、脅され……?」
私は耳を疑った。
清都さんがそんなことを?