エリート御曹司は極秘出産した清純ママを一途な愛で逃がさない
『そうなの! もう映美ちゃんのためならどんな手段だって使うっていうくらい、迫力のある形相だったわ』
「そうですか……」

さっき店に来たときの清都さんの、冷静だけれど獰猛ともいえる態度を思い出し、合点がいく気がした。

あの清都さんなら想像がつく。
二年前のやわらかく微笑む、穏やかで余裕のある清都さんとはすっかり変わってしまったようだった。

私は亜紀さんとの電話を切ると、職場を出て急いで保育園へ向かった。

亜紀さんのお母様から出た保育園というワードで、私に子どもいるのではと疑われたとしても、清都さんの子だとまではまだ知られてはいないはず。

保育園に着くと引き渡してくれた保育士さんに挨拶し、光太を抱きかかえて自転車に乗せる。
しっかりとベルトを装着して、急いで帰ろうとしたそのとき。

「映美」

目の前に再び現れた人物を見て、心臓が飛び跳ねる。
おざなりに呼吸をすると、緊張で喉がひゅっと鳴った。

「き、清都さん……」

私たちの前に立ちはだかり、清都さんは怖いくらい一途な目でチャイルドシートの中を見た。

「その子は?」
「えっ……!」

大股で近づいた清都さんが、屈んで光太の顔を覗き込む。
私は一歩後退し、すぐに自転車を後ろ向きにさせようとしたけれど遅かった。

「……何歳、何ヶ月?」

まるでほとばしる熱を制御しているような、深くて低い声色。

「映美」

押し黙っていたら名前を呼んで急かされて、私は両肩をビクッと上下させた。

「父親に似ていると思わないか?」

探る目線を向けられて、当惑した私は額に冷や汗が滲むのが感覚でわかった。ドクンと強く心臓が鳴る。

「俺の子ども時代の写真を見たら、きみはきっとびっくりするだろう」

もはや確信したと言わんばかりに、清都さんは私を真っ直ぐに見た。
心臓は早鐘を打ち、制御できない。

「おそらく年齢も、あのホテルでの一夜の子だとすれば計算が合う」

蛇に睨まれたかのように動けずにいながら、顔中がカッと熱くなった。

バレた……。
あの夜の子だと。
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