エリート御曹司は極秘出産した清純ママを一途な愛で逃がさない
「離れていた期間を埋めるなんてできないけれど、少しずつでいい。映美と光太に受け入れてもらえるよう最大限の努力をする。だから、俺を拒否しないでほしい」

低い声が心に響いた。
清都さんの真摯な態度から、嘘のない渾身の叫びに感じて胸が締めつけられた。

突然一児の父になっていたのにもかかわらず、戸惑う素振りなど見せずにただ一心に、私たちのことを考えてくれているように思う。

そんな実直な清都さんの父親としての思いを受け入れずに拒否するのは、間違っているのだろうか。

でも、私は亜紀さんの代わりに抱かれ、責任感で清都さんを縛りつけているだけだし……。

心の中がくぐもっていて、自分の気持ちがよくわからない。
持て余す思いをどうにもできずに、太ももの上で握った手にギュッと力を込めたとき。

「あの夜、きみはとてもかわいかった」

先ほどまでの硬直な声音が、突然甘やかな響きに変わった。

あの夜って……。
ベッドルームへ目線がいきそうになって、私は慌てて自分を制した。

「再会して、きみは母親になり、以前よりも凜とした立派な女性になっていたから素直に驚いたよ」
「お、驚いたのは私の方です……!」

思わず口を衝いて出た私の言葉に、清都さんは目を丸くする。

「え?」

変わったのは清都さんだと言おうとして、とっさに言葉を飲み込んだ。

「いや、その……」

穏やかで人あたりがよかった以前に比べたら、驚くほど高圧的で身勝手極まりない態度だったのに。
急に二年前のようなやわらかい眼差しを向けられるんだもの、顔中が尋常じゃないくらい熱くなる。

私の言葉を待っている清都さんの曇りない目に、バツが悪くて視線をそらしたときだった。

部屋に、聞き慣れた携帯の着信音が鳴り響く。

「すみません、電話が」

私はすぐにバッグの中をまさぐった。

「ああ、気にしないで出て」

清都さんの承諾を得てから画面を見ると、着信は保育園からだった。
ドキッと胸騒ぎがして、すぐに携帯を耳にあてる。
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