❤️お前の身も心も捧げろ〜極道の寵愛は止められない
葉月、どこへ行くんだ、俺を一人にするな。

葉月は何も答えず、俺の前から姿を消した。

まもなく、冨樫の意識が回復した。

「組長、大丈夫ですか」

冨樫の顔を覗き込んでいたのはヤスシだった。

「葉月は、どうした」

冨樫はガバッと起き上がり、ベッドから立ちあがろうとした。

「組長、急に立ち上がってはいけません」

冨樫は案の定床にへたり込んだ。

ヤスシは冨樫の身体を支えて、ベッドに横にならせた。

「まだ、動いちゃいけません、葉月さんはまだ意識が回復しません」

「そうか」

「俺を葉月のそばに連れて行ってくれ、頼む」

「わかりました」

ヤスシは冨樫の身体を支えて、葉月の元に向かった。

集中治療室の窓から、葉月の様子を窺う冨樫。

葉月、俺は何もしてやれないのか。

もし、叶うなら俺の命をお前にやりたい。

早く、目を覚ましてくれ。

俺はお前の他には何もいらない。

お前が俺の側にいてくれるなら、全てを失っても構わない。

葉月、葉月。

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