❤️お前の身も心も捧げろ〜極道の寵愛は止められない
西沢は胸ぐらを掴まれた手を退けた。

「あいつはな、自分より、お前を大事に思ってる、記憶がなくても、
お前を愛している葉月なんだからな」

廊下に出た二人が気になった葉月は、車椅子に移り、病室のドアのところまで移動した。

ドアは閉まっていたが、廊下で話している二人の声が聞こえて、葉月は狼狽えた。

えっ、私が葉月なの?

そして、さらに、聞こえてきた声に愕然とした。

「お前、葉月を極道の世界に引きずり込もうなんて思ってねえだろうな、
葉月がお前の子供を流産したのは、お前の責任だ、反省しろってことなんじゃねえか」

私、冨樫さんの子供まで授かっていたのに、流産してしまったの?
葉月はあまりのショックな事実に手がガクガクと震えていた。

冨樫は、西沢に黙れと言わんばかりに態度で示した。

そっと、葉月の病室のドアを開けた。

葉月はベッドに寝ていた。

涙が溢れて、手が震えていた。

それを隠すかのように、タオルケットを肩までかけて、窓の方を向いていた。

「葉月、大丈夫か」

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