❤️お前の身も心も捧げろ〜極道の寵愛は止められない
葉月は寝たふりをして答えなかった。

冨樫と西沢は葉月の病室を後にした。

次の日、冨樫は葉月の異変に気づいた。

「葉月、お前、何か思い出したのか、それとも、俺と西沢の話を聞いたのか」

葉月は何も答えなかった。

でも、肩を震わせて、泣いている様子が伝わって来た。

冨樫は葉月に話すことを決意した。

「葉月、お前は葉月だ、身代わりでもなんでもねえ」

「お前は俺の子供を身籠った、でも俺の不注意で流産した、すまん」

「その後、お前は俺の前から姿を消した、三年だ、三年振りに見つけたお前は
俺を覚えていなかった」

「お前がこの三年、どんな生活を送っていたのか、想像も出来ない、だから
無理に思い出させても、辛いだけだと判断したんだ」

葉月は冨樫の方に振り向き、冨樫に抱きついた。

「冨樫さん、ごめんなさい、ごめんなさい」

「葉月」

「辛い思いをしたのは、冨樫さんなのに……」

冨樫は葉月をギュッと抱きしめた。

「俺は大丈夫だ、葉月が俺の側にいてくれることだけで、幸せだ」

< 128 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop