❤️お前の身も心も捧げろ〜極道の寵愛は止められない
顔も覚えていない、どんな人なのかもわからない、でも冨樫雅也のことを考えると、

身体が熱ってどうしようもない。

事務所に行ってはいけないとヤスシに言われていた。

組長命令だと。

でも葉月はある日、行動を起こした。

お弁当を作り、タクシーで冨樫組事務所に向かった。

事務所は明かりがついていた。

入口を入り、階段を上がって行くと、ドアは鍵がかかっていた。

インターホンを鳴らすと「ヤスシか」と声がした。

冨樫は鍵を開けた。

ドアを開けて葉月は事務所の中に入った。

冨樫はパソコンの画面を見たまま「そこに飯置いておいてくれ」と声をかけた。

葉月は思い切って冨樫に声をかけた。

「あのう、葉月です」

何ヶ月ぶりかの葉月の姿に、冨樫は身体が震えた。

「お弁当作ってきたんです、もし良かったら食べてください」

冨樫はじっと葉月を見つめたまま、微動だにしなかった。

「冨樫さんですよね」

冨樫は「あ、ああ」と答えた。

「今、タクシーを呼んでやるから待ってろ」

< 149 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop