❤️お前の身も心も捧げろ〜極道の寵愛は止められない
おでこにキスを落とし「おやすみ」と言って抱きしめて眠る。

こんなに大事にされた経験は、葉月の中でははじめてのことだった。

少しづつ、アザもキスマークも消えて、葉月は脱衣所の鏡の布を外した。

自分の姿を鏡に映すと、走馬灯のように嫌な記憶が蘇るからだ。

あの時、私が拒否したから、冨樫さんのプライドを傷つけてしまったの?
それとも、他に好きな人がいるの?

葉月はヤスシに聞いてみた。

「ヤスシさん、冨樫さんには恋人はいらっしゃらないんですか」

「若頭は三年前には結婚を約束した人がいたんですが、その女性はもうこの世にはいないんです」

「ご病気か何かでなくなったんですか」

「いえ、自殺です」

葉月は思わず口を手で覆った。

「どうして自殺なんて……」

「その女性には好きな男がいて、後追い自殺です、若頭は騙された感じで、
相当のショックを受けました、若頭も自殺しちまうんじゃないかと心配して、
組長が俺に若頭を見張れって」

「そうだったんですか」

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