❤️お前の身も心も捧げろ〜極道の寵愛は止められない
葉月は視線を感じて冨樫の方へ振り向いた。

冨樫もまた、葉月の方へ振り向いた。

二人の気持ちが交錯する。

言葉にしなくても、相手に届くほどの、思いが表情で読み取れた。

それなのに、二人の距離は遠くなっていく。

どうして、私は素直になれないの?

葉月の自信の無さが邪魔をする。

どうして、俺は葉月を強引に連れ去ることが出来ないんだ。

冨樫の過去のトラウマが邪魔をする。



そんなある日、事件は起きた。

冨樫は敵対する極道に銃で撃たれた。

「若頭、しっかりしてください」

ヤスシは狼狽えていた。

脇腹からのおびただしい血があたりを血の海と化した。

冨樫は救急車で病院へ運ばれた。


冨樫の容態は意識不明の重体だった。

すぐに麗美に連絡が入り、当然葉月の耳にも入った。

「葉月、冨樫が撃たれた、意識不明の重体だそうだ」

葉月は手が震えた。
冨樫さん、死なないで。

「俺はこれからお嬢を連れて病院へ向かう、葉月はここで待っていてくれ」

「私も連れて行ってください」

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