❤️お前の身も心も捧げろ〜極道の寵愛は止められない
葉月は居ても立っても居られず、城之内に「ごめんなさい」と、
一言だけ言って、病院へ向かった。

「葉月、葉月戻るんだ」

しかし、城之内の言葉は葉月には届かなかった。

集中治療室の前には、ヤスシがいた。

「ヤスシさん」

「あっ、葉月さん」

「冨樫さんの容態は?」

「手術は成功して、球は取り除いたんですが、意識不明のままです」

冨樫さん、私はあなただけを愛しています。

早く目を覚まして……

葉月は片時も離れず、冨樫に寄り添った。

その間、麗美は一度も病院へはこなかった。

それから一週間が過ぎた頃、冨樫は目を覚ました。

ところが冨樫の様子がおかしい。

ヤスシのことはわかっているようだが、葉月とは初対面だと言うのだ。

葉月は過酷な現実に打ちのめされた。

先生の話によると、強いショックで、一時的な記憶障害だと言うことだった。

でも、なぜ、私のことだけ、覚えていないの?
葉月は落ち込んでいた。
葉月は城之内のマンションへ戻ることに躊躇していた。

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