❤️お前の身も心も捧げろ〜極道の寵愛は止められない
「もう、無理です、私は山辺から逃れられないし、幸せになんかなったらいけないんです」

葉月はもう、涙が止まらなかった。

ヤスシはこれ以上は引き止められないと、説得することをやめた。

「あのう、引っ越し先が決まるまで、手伝わせてください」

「ありがとうございます」

「それと引っ越し先は若頭に伝えます、いいですよね」

「はい、もちろんです」

葉月はマンションではなく、アパートに引っ越した。

今日から一人で生きていかなくちゃ。

冨樫は葉月が戻っていると信じて、マンションに急いだ。

「ただいま、葉月」

でも迎え入れてくれたのはヤスシだった。

「おかえりなさい、若頭」

「葉月は」

「ここへは戻らず、アパートに引っ越しました」

冨樫はヤスシの胸ぐらを掴んで「なんでここに連れてこなかったんだ」と怒鳴った。

「若頭、葉月さんの気持ちを考えてあげてください」

「アパートの住所は聞いたか」

「はい」

「そうか」

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