❤️お前の身も心も捧げろ〜極道の寵愛は止められない
「そうか、葉月さんだったな」
「はい」
葉月は声を震わせて答えた。
「極道の妻になる覚悟はあるのかな」
「覚悟と言うか、冨樫さんと離れてみて、わかったんです、手が触れるほどの距離にいて欲しいと……」
「そうか」
「雅也、葉月さんは堅気のお嬢さんだ、妻に迎えるなら、それなりの覚悟はあるんだろうな」
冨樫は真っ直ぐに組長をみて答えた。
「命がけで守ります」
冨樫と葉月は屋敷を後にした。
車でマンションに戻ると、冨樫は葉月の手を握り、ポケットから小さな箱を出した。
「葉月、一生俺についてきてくれ」
箱を開けると、指輪が入っていた。
葉月は嬉しくて、泣きながら「はい」と答えた。
冨樫は葉月の頬の涙を拭って抱きしめた。
そんな幸せは続くことはなかった。
葉月に執着する山辺は、極道には極道だと、金にものを言わせて、
西沢組若頭、西沢守に葉月を自分の元に連れてくるように依頼した。
西沢組は金のためならなんでもやる。
特に守は血も涙もない、極悪非道のヤクザだ。