ハジメテノコイ

柚希side


「最近ずっと携帯気にしてるね」


前の席の一愛が後ろを振り返って言った。


「そー?」

「うん、あやのさんと連絡先交換してからずっと」

「えー、そうかなぁ」


全然自覚無かった。


「すきなの?」

「え!?何言ってんの(笑)」

「だって通話してる時とかほんっと女の子みたいで凄く可愛いよ」

「ちょっと(笑)元々女の子なんですけどー」

「そーだけどさぁ」

「てか第一に、あたしも女の子であやのも女の子だよ」

「うん、だから?」

「いや、だからって...」


そんな真面目な顔で言われても...。


「女の子が男の子としか恋愛しちゃいけないって誰が決めたの?」

「え...」

「じゃああやのさんが他の人に取られてもいいんだ、平気なんだ」

「いや、それは...」

「他の誰かと手繋いでー、抱き合ってー、キスしてー、その先だってー...」

「駄目、それ以上言わないで」


心が潰れちゃうかと思った。

想像しただけで苦しかった。


「一愛、あたしすきかも」

「やっとわかったんだ(笑)」
< 20 / 60 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop