ハジメテノコイ

「柚希ちゃんも大変ねー(笑)」


家に入るなり雅臣ママが言った。


「そーなのー、シスコンなおんないの樹希(笑)」

「逆にそれだけお姉ちゃんすきな弟も珍しいけどねー」


雅臣パパが言った。


「確かに」


あたしは頷く。


「何か飲む?それとももう雅臣の部屋に行っちゃう?」


雅臣ママはまーたニヤニヤしている。


「母ちゃんうるさいから部屋行く」


雅臣はあたしの手を取って階段を登った。

久々に入る雅臣の部屋。

あんまり変わっていない。


「あっ、懐かしー...」


雅臣は保育園から中学校までのあたしと映っている写真を何枚か飾ってくれていた。


「なんも変わんないよな、お前(笑)」


確かに(笑)

シーンとする部屋。


「え、映画でも観る?」


雅臣はiPadを取り出した。
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