キミの空に虹を!
ギュッ…

「…ありがとな、もう大丈夫だから。」

すると、後ろから伸びた腕がゆっくりと私を握りしめたのが分かった。

体温がジワジワと伝わってくる。

(えっ?)

ビックリ半分、照れ半分。少しスピードが緩んでしまう。

「なっ…にしてるんですか!」

「あのさ、俺の分まで怒ってくれてんだろ?」

天依は優しいから。って、潤んだ瞳で波月くんは微笑む。

図星なのもあるが、優しいなんて_。

(……そんなの言われたら、怒りなんて消えちゃいますよ。)

「波月くんはズルいです。」

気持ちが嘘のようにピタッと落ち着いた。

「コンッ!」

鳴いた炎の狐がブワァと跡残らず消える、能力の時間が切れた合図だった。
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