恋文の隠し場所 〜その想いを読み解いて〜
2人でソファに並んで座り、恋文に向きあった。
「こうしましょう。私がこの手紙の、読める文字を宍戸さんに教えていきます。私にも読めないところがあるので、そこを二人で推測していく……という感じで。女性の気持ちは、女性の方がよく分かるでしょうから」
「……それならお役に立てるかもしれません」
先生の提案にそう答えると、先生も嬉しそうに頷いてくれた。
「では、始めましょう」
「はい」
なんだか、とてもわくわくした。
◇◇◇
小一時間が過ぎた。
「ここは、『あなたの横顔に惚れ惚れしてしまいます』というような意味だと思います。『見惚れる』と読めので」
「なんだか可愛いですね。お相手は、きっとイケメンだったんでしょうね!」
思わず漏れた感想に、先生はこちらを向いて「ご明答」とニカッと笑った。
「手紙の書き方や、宛先からすると、書いたのは女性だと思いますよ。ほら、ここ。宛先の名前が『なんとか郎』なのが、かろうじて分かります」
そうなのか、と思いつつ、私も恋文に目を落とす。
先生の指差した先は相変わらず読めない。
けれど、想いを馳せることはできる。
何百年も前の女の子が書いた、一枚のラブレター。それが時を経て、こんな顔の整ったイケメン書道家の先生に読み解かれているなんて思いもしないだろう。
不思議な温かさ、気恥ずかしさ、ちょっとした申し訳なさを感じる。
「しっかしかなりのクセ字ですよ、この子」
先生がぐーっと伸びをした。
「こうしましょう。私がこの手紙の、読める文字を宍戸さんに教えていきます。私にも読めないところがあるので、そこを二人で推測していく……という感じで。女性の気持ちは、女性の方がよく分かるでしょうから」
「……それならお役に立てるかもしれません」
先生の提案にそう答えると、先生も嬉しそうに頷いてくれた。
「では、始めましょう」
「はい」
なんだか、とてもわくわくした。
◇◇◇
小一時間が過ぎた。
「ここは、『あなたの横顔に惚れ惚れしてしまいます』というような意味だと思います。『見惚れる』と読めので」
「なんだか可愛いですね。お相手は、きっとイケメンだったんでしょうね!」
思わず漏れた感想に、先生はこちらを向いて「ご明答」とニカッと笑った。
「手紙の書き方や、宛先からすると、書いたのは女性だと思いますよ。ほら、ここ。宛先の名前が『なんとか郎』なのが、かろうじて分かります」
そうなのか、と思いつつ、私も恋文に目を落とす。
先生の指差した先は相変わらず読めない。
けれど、想いを馳せることはできる。
何百年も前の女の子が書いた、一枚のラブレター。それが時を経て、こんな顔の整ったイケメン書道家の先生に読み解かれているなんて思いもしないだろう。
不思議な温かさ、気恥ずかしさ、ちょっとした申し訳なさを感じる。
「しっかしかなりのクセ字ですよ、この子」
先生がぐーっと伸びをした。