恋文の隠し場所 〜その想いを読み解いて〜
読み解いた想いの先に
部屋に入るとに、先生が振り返る。
パタンとドアが閉まった瞬間に、先生は私を抱きしめた。
「来てくれるって思っていたのに、待っている時間がもどかしくて、エントランスまで降りていってしまいました……」
先生の腕の中。優しい抱擁は温かいのに、キュっと私の胸を締め付ける。
「先生……」
涙が止まらない。
夢を見ているみたいだ。
「手紙、見てくれたんですよね?」
先生の胸に頬をあてたままコクコクと頷けば、頭上から先生のほう、という温かいため息が降ってくる。
「手紙の答え……聞かせてくれますか?」
ドクンドクンとうるさいくらいに胸が鳴る。顔を上げることはできない。恥ずかしい。でも、答えたい。
「……好き、……です」
震える声、それも蚊の鳴くような声になってしまった。
それなのに、先生は私を抱く腕に力を込めた。
「ああ、良かった……」
頭を胸に押し付けられた。ドクンドクンと聞こえる心臓の音が、自分のものなのか、先生のものなのか分からない。
「好きです、宍戸、……杏凪さん」
先生に名前を呼ばれる。
それだけで、自分が特別な存在になれたような気がする。
私たちはしばらく、そのまま玄関先で抱き合っていた。
パタンとドアが閉まった瞬間に、先生は私を抱きしめた。
「来てくれるって思っていたのに、待っている時間がもどかしくて、エントランスまで降りていってしまいました……」
先生の腕の中。優しい抱擁は温かいのに、キュっと私の胸を締め付ける。
「先生……」
涙が止まらない。
夢を見ているみたいだ。
「手紙、見てくれたんですよね?」
先生の胸に頬をあてたままコクコクと頷けば、頭上から先生のほう、という温かいため息が降ってくる。
「手紙の答え……聞かせてくれますか?」
ドクンドクンとうるさいくらいに胸が鳴る。顔を上げることはできない。恥ずかしい。でも、答えたい。
「……好き、……です」
震える声、それも蚊の鳴くような声になってしまった。
それなのに、先生は私を抱く腕に力を込めた。
「ああ、良かった……」
頭を胸に押し付けられた。ドクンドクンと聞こえる心臓の音が、自分のものなのか、先生のものなのか分からない。
「好きです、宍戸、……杏凪さん」
先生に名前を呼ばれる。
それだけで、自分が特別な存在になれたような気がする。
私たちはしばらく、そのまま玄関先で抱き合っていた。