『Billion Love』~17回目のプロポーズは断ることが出来ない?!
お酒の力を借りて…
(九年前、高校三年)
『一緒に卒業したかったのに…』
『ごめん』
海外に拠点を移し、初めの頃はレポートで何とか単位も取れてたけど、結局は限界だと感じて、拠点を移した海外のスクールに籍を移した。
凜は俺と一緒に卒業したかったらしく、俺が転校(留学扱い)したことを知り、メールをして来た。
俺だって、凜と一緒に卒業したかった。
五歳の頃から凛家族と過ごすようになり、俺の中では凛といることが当たり前になっていて。
毎日凜の顔を見て生活していたのが、つい昨日の出来事のよう。
あっという間に一年が経っていた。
『進路は何にするのか、決まったのか?』
『うん』
『何?』
『ひみつ』
『何でだよッ』
高校三年の八月。
進路をどうするのか決まってると思って凜に聞けば、『ひみつ』と返って来た。
俺らの間では、例え些細なことであっても『隠し事はしない』と暗黙のルールがあったはずなのに。
一年会わない間にそのルールさえも無くなってしまったのか?
凜はいつも消極的で、母親と俺に対してだけ本音を吐く。
数学で赤点取っても、一つ上の先輩に告白されても、俺に包み隠さず話したのに……。
だから母親は別としても、俺にだけは隠し事はしないと思ってた。
『進学するか、就職するかくらい教えろよ』
一年前の凛は、『何も決めてない』と言っていた。
俺はてっきり、母親が経営する食堂を手伝うために調理師専門学校に通うとばかり思い込んでいたが、父親の話だと『専門学校の話題は出てない』と。
凛ママにメールしてもはぐらかされ、凜が口止めしてるようだ。